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書籍|先祖の社会復帰
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『先祖の社会復帰(Rehabilitation of Ancestors)』は、ウィーン在住のアーティスト丹羽良徳のメディア研究を題材にしたアーティストブックである。パフォーマンスやハプニングのような空間への直接的な介入形式から従来のメディアを使ったパブリックキャンペーンなど、近年の丹羽はメディア形式を使い分けることでアプローチする対象を多様化させようとしている。例えば作品《私的空間からアドルフ・ヒットラーを引き摺り出す》(2018年)では、いまや古いメディアとして考えられている日刊新聞に敢えて広告を出し、オーストリアに暗い影を落とすナチ政権下時代を過ごした先祖たちとの関係に迫るために高齢層世代との接触を謀り、その一部始終をビデオに収めた。YouTube上にアップロードされたもののほとんど誰にも見られないまま放置されていた600を超えるプライベートな誕生日会の動画をランダムに一週間視聴し続けるウェブ作品《誰かの誕生日会をする》(2019年)などは、ソーシャルメディア時代における人々の社交のあり方に作品制作の契機があった。高性能な映像メディアが誰にでも手軽に扱えるようになった現在、その役割変化のなかで新たな人間像を摑み社会を前進させようとする決意である。
別冊で「ウィーンで赤い者を追う(Following Red People in Vienna)」を収録。丹羽良徳が生活の拠点としているオーストリアの首都ウィーン において、赤い服装を身につけた人々を追跡する形式で架空の日記を創作することによって、『赤いウィーン(Rotes Wien)』と呼ばれる1918 年から 34 年までオーストリア社会民主党がウィーン市議会与党となり、労働者の生活水準向上、 公共住宅、福祉や医療サービスの整備 など際立った政策を実現させた社会主義者の統治時代と現在とを切り結び独自の方法によって解読しようする意志である。
『先祖の社会復帰』
ソフトカバー、スイス綴じ、187mm x 240mm、180ページ+20ページ
63カラー写真、18モノクロ写真
2020年3月28日発行
企画:丹羽良徳
編集:丸山美佳
テキスト執筆者:ベアトリーチェ・フォルキーニ(ティッセンボルネミッサ現代美術財団(TBA21)キュレイトリアル・アシスタント)、ジェレミー・エプシュタイン(ギャラリスト、エデル・アサンティ)、奥脇嵩大(青森県立美術館学芸員)、セバスチャン・チチョキ(ワルシャワ近代美術館主任学芸員)、アナ・マリア・モンテネグロ・ハラミーオ)(アーティスト、第45回サロン・ナシオナル・デ・アルティスタスキュレーター)